【法人成り】資産の引き継ぎの処理方法

質問太郎
質問太郎

個人事業主から法人成りをしましたが、個人の時に買ったPCなどの資産をどのように法人に引き継いだらよいかわかりません…

 

 

所長
所長

備品などの資産の引き継ぎについては、個人から法人に対し時価で売却があったものとして処理をします。

 

法人成りでも、時価で売却したことにしなければならないの?

時価が簿価より大きい場合、個人側で売却益が発生しますので、売却益に対し税金がかかります。

とは言っても、「法人成り」と言っても自分の会社です。

自分の資産を法人に移すのに、税金がかかるのは納得がいかない…という方も多いのではないでしょうか?

 

実務上は、簿価で譲渡したことにすればOK

結論から言うと実務上では、法人成りの場合、時価ではなく簿価で譲渡すればOKです。

そうなると、個人側では売却益は出ず、税金はかかりません(消費税はかかりますので注意してください)。

 

では、一体なぜこのような処理が認められるのでしょうか?

 

時価がわからないものについては、簿価で評価する

そもそも、所得税には事業引き継ぎの場合における適正な算定方法について明文化されていないため、実務上は相続税や贈与税の申告に適用する財産評価基本通達(評基通)に基づいて時価を評価します。

 

評基通129条(一般動産の評価)には、以下のようにあります。

一般動産の価額は、原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。ただし、売買実例価額、精通者意見価格等が明らかでない動産については、その動産と同種及び同規格の新品の課税時期における小売価額から、その動産の製造の時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。)の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額によって評価する。

 

注目は、「ただし〜」以降です。

売買実例価額、精通者意見価格等が明らかでない動産については、その動産と同種及び同規格の新品の課税時期における小売価額から、その動産の製造の時から課税時期までの期間…の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額によって評価する

読みにくい文章ですが、つまり、時価がわからないものについては、帳簿上の簿価でOKということです!

 

「時価がわからないもの」の基準は?

質問太郎
質問太郎

なるほど、分かりました。でも、時価がわかるかどうかってどう判断するのですか?

 

昨今はインターネットが発達した時代です。価格.comなんかで検索すれば、型番の商品であれば、一応の時価がわかるような気もします。

とはいえ、これを持って時価が明らかとは言い切れません。価格.comで10万円の商品も、例えばメルカリで見たらタダ同然で売っていたりもするかもしれません。

よって、大体の資産については時価が明らかでないものとして、簿価を時価として処理すればOKです。

またそもそも簿価は、国税庁が発表している減価償却資産の耐用年数に基づいて償却された資産の価額ですから、これを時価の代わりとしても、税務署からお咎めはないでしょう。

 

まとめ

以上、法人成りした場合の資産の引き継ぎ処理について見てきました。

ここではあくまでも「法人成り」の場合についてですので、個人側で売却益を出したくないという前提でした。

一方で、例えば個人で他人の会社に資産を売却するときなどは、もちろんできるだけ高く売りたいですよね。その場合は時価で売ったほうが利益が出ることが多いですから、時価を調べて、時価で売却する処理が必要です。

詳しくは、必ず税理士などの専門家にご相談ください。

 

 

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